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法律マメ知識

【相続】:相続

Q. 3人兄弟ですが、そのうちの1人が消息不明です。親が死亡した場合、遺産はどうなりますか。
A. 1.
人が死亡すれば、相続が始まります。相続とは、死亡した人が生前有していた財産に関する一切の権利義務が死亡と同時に相続人に引き継がれることです(不動産・預金などだけでなく、借金など受け取りたくないものも引き継がれます)。
 従って、借金がプラス財産より多く、引き継ぎたくない場合は相続放棄の申立をする(原則として、死亡後3カ月以内)とよいです。
 
2.
親が死亡したときの相続人は、親自身の配偶者と子どもです。2人以上の相続人(共同相続人という)がいる場合は、故人の遺産をどのように分けるかということを決めなければなりません。これを遺産分割協議といいますが、これには全員の同意が必要です。しかし、全員の同意さえあれば、どのような配分にしても構いません。民法が定めている法定相続分(本件では、配偶者が2分の1、3人の子どもらは各6分の1、配偶者がいなければ、子どもらが各3分の1)はあくまでも協議の目安であり、協議がまとまらなかったときの基準にすぎません。
 
3.
ところで、本件では3人兄弟のうちの1人が消息不明ということですから、遺産分割協議ができません。しかし、消息不明(厳密に言えば生死不明状態)が既に7年以上続いているのであれば、失踪宣告(民法30・31条)という手続をとって、その人が死亡したものとみなすことができます。そうすれば、遺産分割協議は生存する配偶者・兄弟だけですればよいことになります。ただし、失踪宣告を受けた者に子どもがいたり、配偶者がいたりすると、故人の死亡との先後関係によって、子どもだけをあるいは子どもと配偶者を遺産分割協議に加えなければならなくなります。
 次に、消息不明後7年経過していない場合は、@7年待って失踪宣告手続をとる、A不在者財産管理人を選任し、その不在者財産管理人と協議する(民法25・28条)、B家庭裁判所に遺産分割審判の申立をする、C相続放棄(民法915条)などが考えられます。どの方法が最善であるかは、遺産の内容(多いか少ないか、不動産か預金かなど)や消息不明者に子どもがいるかいないかなどによって変わってくるでしょう。
 
4.
なお、相続放棄、失踪宣告、不在者財産管理人の選任は、家庭裁判所に申し立てることになります。
 また、失踪宣告後、失踪宣告を受けた者の生存が判明した場合には、その者から相続回復請求を受けたり、改めて遺産分割協議を求められたりすることになります。

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