【相続】:相続
Q. | 私は親と同居しています。親が死亡した場合、親名義である土地・家屋は兄弟で相続することになりますが、現実には分けることはできません。この場合はどのように相続するとよいのでしょうか。 |
A. | 1. 相続人の範囲と順序は民法で決まっています。しかし、相続分(相続によって取得する分け前)は決められていません。従って、共同相続人全員の話し合い(協議)によって、遺産をどのように分けるのかを決めれば良いのです。兄弟間で、不平等があっても構いません。とにかく、全員が納得して同意すればよいのです。 2. なお、合意が整ったら、必ず遺産分割協議書を作成して下さい。見本を掲げますので、参考にして下さい。押印は必ず実印で行い、印鑑証明書も添付して下さい。 ≪遺産分割協議書≫ 被相続人Xは○月○日死亡したので、その遺産について、その共同相続人A、B、Cは本日協議し、以下の通りの遺産分割に合意した。 @ AはXの不動産a(地番等)及び金b円を取得する。 A BはXの不動産c(地番等)及び金d円を取得する。 B CはXの不動産e(地番等)及び金f円を取得する。 C AはXのその余の遺産すべてを取得すると共に、Xの祭祀を承継する。 △年△月△日 A ‥‥‥‥ 印←実印 B ‥‥‥‥ 印←実印 C ‥‥‥‥ 印←実印 3. ところで、共同相続人間での協議がうまくまとまらないときには、民法が定めた基準(法定相続分)を目安にして下さい。その基準は下記の通りです。 @ 子と配偶者が相続人であるときは、子の相続分も配偶者の相続分も、各2分の1。 A 配偶者と父母が相続人であるときは、配偶者の相続分は3分の2で、父母の相続分は3分の1。 B 配偶者と兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1。 C 子、父母、兄弟姉妹がそれぞれ数人あるときは、それぞれの相続分は平等。 4. なお、被相続人から生前贈与など特別に(通常の儀礼的・日常的な贈与に比べて特別に多く)受け取っていた場合は、「特別受益分」として、被相続人の遺産に含まれます。逆に、被相続人の遺産の維持・増加に特別に寄与したという場合は、「特別寄与分」として優先的に遺産から分配を受けたり、分配の割合が多くなったりします。 5. また、本問のように、遺産が土地・家屋のみのような場合は、分けることができませんし、共有にするのも困ります。そこで、よく行われるのが、A・B・C3人の兄弟で、土地・家屋Y(時価900万円)のみというようなとき、AがYを取得すると共に、AがB・Cにそれぞれ300万円を支払うということをします。代償取得といいます。 6. 実際の遺産分割では、特別受益分、特別寄与分、遺産の評価などの外にも感情の問題もあって、もめ始めると解決に大変多くの時間も費用(特に鑑定費用)もかかってしまいます。適切な譲歩が必要だと思います。 |
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