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法律マメ知識

【相続】:遺言書の作り方と効力

Q. 自分の死後のことが気になりますので、遺言書を作りたい思います。その作り方と効力を教えてください。
A. 1.
人間は必ず死にます。従って、相続は必ず発生します。土地や預金のようなプラス財産だけでなく、借金のようなマイナス財産も相続されます。従って、マイナスの方が多い場合は、死亡後3カ月以内に相続放棄とか限定承認という手続をとると良いです。そのような恐れがある場合は、死亡後、速やかに弁護士に相談すると良いです。

2.
ところで、相続人が2人以上いる場合、遺産をどう分けるかという問題(遺産分割協議)が残り、ときには相続人同士で争いが生じることがあります。その争いを回避するためには遺言書を作ると良いでしょう。また、相続人が1人あるいはいない場合、遺産分割という争いは生じませんが、遺産をどこかに贈与したいという場合には、遺言書を作っておく必要があります。
 このように、遺言書は生存中に、自分が死亡したとき、その遺産をどのように分割するか、贈与するかという意思を明確にしておくものです。

3.
遺言書が陽の目を見るのは、遺言書作成者が死亡した後ですから、遺言書の内容・作成者などが明確でなければなりません。そこで、遺言書の作成には厳格な要件があります。
 最もよく利用されているのが公証役場で作成する「公正証書遺言」です。これは、公証人という法律専門家が関与するので、間違うということはまずありません。相談しながら作成できますし、作成された遺言書の原本も公証役場で保管しますので、紛失することもありません。ただ、「公正証書遺言」の作成には、相続人(となるであろう人)以外の人2名が証人として立ち会うことが必要ですし、若干の費用(遺産の多い少ないで異なりますが、普通は5〜10万円でしょう)がかかります。また、証人がいますので、遺言書の存在、内容が分かってしまいます(証人が弁護士など守秘義務のある人なら問題ないですが)。
 次に、遺言者自身が作成する「自筆証書遺言」があります。これは、自分だけで作成しますから、他人に分かることが少ないですが、逆に、隠してしまうと、死亡した後、遺言書が見つからないということもあります。また、遺言文言・日付・名前などすべて自分で書くことが必要ですし、訂正する場合には何字加筆何字削除したかも書く必要があります。その他、死亡後には、相続人が家庭裁判所へ持って行って、検認という手続を経ることが必要です。
 これらの外にも、「秘密証書遺言」とか「危篤時遺言」がありますが、ほとんど実例がないので省略します。

4.
遺言者自身の遺産を誰にどのように分け与えるかは、遺言者の自由な意思によるのですから、相続人は遺言書に書かれている通りに分割しなければなりません。その意味で、「公正証書遺言」の効力は絶大です。
 ただ、例外があります。1つは、「遺留分」というものです。即ち、相続人は、自分が所得することになった遺産が遺留分(遺産の2分の1×自分の法定相続分)より少ない場合には、遺留分だけはもらうことができるのです。この権利(遺留分減殺請求権)は遺言者の死後1年以内に行使しないと失くなってしまいます。例外の2つ目は、相続人全員の同意さえあれば、遺言書と違う分割方法にしても構いません。

5.
その他、次のことにも注意して下さい。まず、遺言書は何回でも作成できますが、その場合は、最も新しい遺言書が有効となります。また、「自筆証書遺言」の場合ですが、2人で1通の遺言書を作成しても無効です。必ず1人1通です。

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