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法律マメ知識

【生活トラブル】:境界線トラブル

Q. 隣のAさんの土地と私(B)の土地との境がはっきりしないため、今もめています。話し合いをしても、感情的になるばかりで、うまく進めません。何か良い方法はないでしょうか。
A. 境界問題は、とても辛いですね。いつも顔を合わす人との関係ですから、一刻も早く解決したいものです。しかし、相当古い歴史があることが多く、資料も証人も少なくなっていることが多いです。本当にやっかいです。

(1)ところで、土地の境界という場合、2つの意味があります。1つは、ある土地が登記された時にその土地の範囲を区画するものとして定められた線であり、公的なものです(所有者同士の合意等によって変更することはできません)。これを「筆界」と言います。2つは、土地の所有権の範囲を画する線という意味で用いられ、通常これを「境界」と言っているようです。この意味での「境界」は、所有権処分の自由という大原則(資本主義の大前提)からしても、所有者同士の合意等によって変更することができます。いわば、前者が公法上の境界であり、後者が私法上の境界と言えます。本来、「筆界」と「境界」は一致するのが望ましいのですし、一致していることが多いのですが、長い年月が経過する過程で、所有者(相続や売買等)、周辺事情も変わり、土地の利用形態も変わります。土地所有者同士の合意で、あるいは一方的に元々の境界線とは違った形にしてしまうこともあります。一部だけの処分や時効取得もあります。その結果、「筆界」が分からなくなったり、「境界」との違いが問題になったりするのです。

(2)このようなトラブルが発生したとき、「境界」(私法上の境界)については調停で(もちろん、裁判でも)解決することができましたが、「筆界」(公法上の境界)は土地所有者同士の合意等によって変更することができませんから、裁判でしか解決できません。しかも、その裁判(境界確定訴訟と言います)は、証拠書類を集めるのが困難であり、結構面倒です。

(3)そこで、平成18年1月20日から、比較的手軽に「筆界」を定めることのできる「筆界特定制度」ができたのです。以下に多少詳しく述べますが、これはあくまでも「筆界」(土地が登記された時にその土地の範囲を区画するものとして定められた線)を、現地において特定する(明らかにする)ことです。従って、新たに「筆界」を決めるものではなく、所有権の範囲を定めるものでもありません。
@申請人――土地の所有者として登記されている人及びその相続人など。
A申請先――対象となる土地の所在地を管轄する法務局又は地方法務局(筆界特定登記官)
B特定の方法――a)筆界特定登記官は、法務局内にある資料、市役所や県庁、区画整理事務所等から取り寄せた資料を調査します。また、現地調査を行う筆界調査委員(民間の土地家屋調査士など)を選任します。b)筆界調査委員は土地の実地調査や測量、関係者からの聴取や資料収集などをします。その上で、筆界に関する意見を筆界特定登記官に提出します。c)筆界特定登記官は、筆界調査委員の意見を踏まえて、総合的な見地から土地の筆界の現地における位置を特定します。d)「筆界」が特定されると、筆界特定の対象となった土地を管轄する登記所において筆界特定書が保管されることになり、その筆界特定書の写しをコピーすることはできます。また,筆界特定の対象となった土地の登記記録にも筆界特定がされた旨が記録されます。申請人や関係人にも通知されます。
B申請費用――対象土地の価格によって決まります。たとえば、対象土地(申請人と相手方)の合計額が4,000万円の場合、申請手数料は8,000円になります。また、測量をする場合の測量費用は負担しなければなりません。

(4)利用する者の心構えとしては、申請書に必要な事項を記載するだけでなく、手持ちの資料をできるだけ早く且つ多く提出する必要があります。また、筆界調査委員が収集及び作成した資料や調書類を閲覧することもできます。

(5)「筆界特定制度」は、確定に必要な資料収集や事情聴取を筆界特定登記官、筆界調査委員などがしてくれますし、比較的低価格で行うことができます。便利な制度と言えます。しかし、「筆界」が特定されても不服であれば、最終的には司法(裁判所)の場で解決を図ることになります。すなわち、前記の境界確定訴訟を起こすことになります。

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